子どもをコントロールしたときに

どんな塾?

ここ数ヶ月ビッグモーター社のさまざまな不正が世間を騒がせ続けています。その不正の根っこにあるのは、コントロール(統制)です。報酬や罰・強要・脅し・監視・競争・評価、そんな手段によって人の行動をコントロールしようとすると、不正や短絡行動が生じやすくなります。それはビッグモーター社の中だけではなく、至るところで見られます。

私が以前に勤めた研究所では、特許出願のノルマがありました。それは強要されるものでしたし、成果報酬制度によって、ノルマを達成するかどうかが報酬と罰になりました。そのためか、自分たちですら使いどころのよくわからない件数稼ぎの特許がたくさん出願されていました。

不正や短絡行動は教育においても非常によく見られます。

例えば、宿題の答えを写したりして形だけ終わらせるような短絡行動も、コントロールによって生じています。宿題は強要されるものである上、提出すれば提出点という評価が与えられたり、提出しなければ怒られたり罰を与えられたりすることが多いです。子どもたちが宿題に取り組むのは、その価値を認めているからではなく、このようなコントロールがあるからです。そして、そのために短絡行動が生じてしまうのです。

他にも、テストでカンニングするような不正行為も、コントロールによって生じます。テスト結果が悪ければ叱ったり、「テストで◯点以上とったら、◯円あげる。」と報酬を設定したりされる親御様はよくおられます。カンニング行為の背景には、そのようなコントロールが必ず存在しています。(自分の力を試すため、その価値を認めてテストを受ける子どもは、試験中に監視しなくとも絶対にカンニングはしません。)

コントロールは至るところに見られますが、そのデメリットはあまりはっきりと認識されていないように思います。不正や短絡行動が生じやすいことに加えて、コントロールにはさまざまなデメリットがあります。

  1. 不正や短絡行動が生じやすい
  2. その場限り
  3. 本来の力を発揮しない
  4. 意欲を失わせる
  5. 心の健康を害する

教育において、特に4や5はとても深刻なデメリットだと思います。学習意欲を大きく損ねてしまったり、無気力になってしまった子どもを預かることがときどきあります。そのような子どもは、まず間違いなく厳しいコントロールの下に置かれた経験を持っています。そんな彼らの意欲や元気を取り戻すには、膨大な時間とエネルギーが必要です。

お子様には、どのように学習に向き合うよう育ってほしいですか?

  • いい加減な学習をしないでほしい
  • 自らすすんで学習してほしい
  • 自分の才能を発揮してほしい
  • ワクワクを感じながら学んでほしい
  • イキイキと元気でいてほしい

もしもそのように願われるのでしたら、安易にコントロールすることはおすすめできません。ただし、それは単に寛容であれば良いというわけではありません。正しく自律性を支援することで、コントロールなどしなくとも、子どもはきちんと学習に向き合うようになります。丁寧に、そして懸命に取り組むように育つのです。

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