ワクワクをこわす・そだてる

「これって何のためにやるんですか?漢字を覚えるためにやるんじゃないんですか?」

その日、Rくんは相当に憤っていました。学校で漢字の宿題の再提出を求められたそうなのです。その理由は、「句読点に1マスを使ったから」だそうです。どうやら、すべてのマスを文字で埋めなければならなかったのに、Rくんはそれを知らずに「。」に1マスを使ってしまったのです。「どのように学ぶか」Rくんの漢字学習において、それは教師が決定し、生徒はそれに従わなければならないようです。

ところで、私には5歳の息子がいます。彼は今、漢字学習に熱中しています。毎日漢字の本を開いては、一画一画を嬉しそうに書いています。読める字・書ける字が日々増えていくことにワクワクしながら、学んでいます。私がさせているわけではなく、彼が彼の意思でやっています。だから、彼の漢字学習には一切の決まりがありません。「どのように学ぶか」それは、彼が自分で決めています。

息子の学習を見ていて、自分ならこうするのになと思うことはよくあります。そんな時、もしRくんの教師のように「どのように学ぶか」を決めて息子を従わせたら、彼のやる気はどうなってしまうでしょうか。それは簡単に想像がつくと思います。やる気は、消えて無くなってしまいます。そのことは既に心理学で実証されています。

そのような研究の発端となったのは、デシ博士の次のような考えです。

学校では、子どもたちを動機づけるためにあらゆる種類の報酬や規則や管理が広範に利用されているが、実はこのようなやり方自体が悪者なのであり、それらは学習のワクワクするような気持ちを促すどころか、逆に子どもたちを無気力で惨めな状態におとしめてしまうのではないか。

エドワード・L・デシ、人を伸ばす力、P.28

この考えをもとに研究が進められました。そして分かってきたのは、行動をコントロールしようとすることには、いずれもやる気を失わせる効果があるということです。Rくんの教師ほど強くはなくても、子どもをコントロールしようとしてしまうことは多々あると思います。例えば、求められてもいないのに、「もっとこうしたほうがいい」と介入することや、毎日これだけ頑張ろうと勝手に目標をつくること、他には、もっと学習を頑張らせるためにご褒美を与えることなどです。そのような接し方の積み重ねで、子どものやる気は失われていくのです。

やる気を持って取り組む学習ほど効果の高い学習はありません。だからこそ、私は息子やRくんの「どのように学ぶか」には介入しません。もちろん、必要な援助は最大限行う用意はありますが、それを押し付けることは決してしないと決めています。息子のワクワクが順調に育っていることや、学校の教師には反抗しても、私たちの提案をどんどん受け入れ意欲的に頑張るようになったRくんの姿勢から、やはりそれがやる気の真理なのだと思います。

2020年度より、プログラミングが必修化されました。これまでは興味のある子が自発的に取り組んでいたプログラミングが、学校教育の中に取り込まれていきます。もしも、他の科目と同じように指導されるのであれば、本来ワクワクと取り組めたはずのプログラミングが、面倒なやりたくないことに成り下がっていくのは、時間の問題なのかもしれません。(すでに「プログラミングって面白くない」との言葉がちらほら聞かれます。)

来月より、当塾でもプログラミングの受講が可能となります。「子どもにはワクワク学んでほしい」そのようにお考えの親御様と、お子様のワクワクを育て・守っていきたい。私たちはそのように考え、指導してまいります。

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