スマホは、学習の敵?味方?

生徒の成長

先日、第一志望校に合格した高校3年生のRくん。彼は受験勉強にスマホをフル活用しました。彼が学校で受講した授業だけでは、受験に必要な数学がカバーしきれませんでした。そこでRくんは、スマホをつかって無料の授業動画を観ながら自分で学習を進めました。そして、それでは分からないところだけを塾で質問するという学習で難なく受験を乗り越えました。

今でこそ学習にスマホを活用するRくんですが、彼が中学1年生のとき、スマホは彼の学習を妨げる最大の要因でした。当時の彼は、自由時間のほとんどをスマホゲームに費やし、学習に充てようとはしませんでした。テスト前であってもそれは変わることなく、なかなか成績は上向きませんでした。

中1当時︎
  • 自由時間はずっとスマホ
  • テスト前でもゲーム三昧
  • 没収されても勉強しない
︎中2以降
  • 改善のため助けを求める
  • スマホを使って学習改善
  • 受験勉強にスマホを活用

子どもがスマホに夢中になって勉強しないとき、多くの親御様は子どもの行動を変えさせるために、まず統制を試みられます。Rくんの親御様もやはりそうされました。「次のテストで◯点以上取らなければ、スマホを没収する。」そんな条件を課すことで、Rくんの行動を学習に向かわせようとお考えになられたのです。

しかし、Rくんの行動は全く変わりませんでした。そしてスマホは没収されました。「そんなんやっても意味ないやん!」彼は憤っていました。一方的に条件を課して没収するようなやり方に大きな反感を持ったようでした。スマホを没収された後、Rくんは相変わらず勉強しませんでした。ゲーム機でのゲームや漫画を読むことに多くの時間を費やすようになりました。それはおそらく、統制に反抗していたのだと思います。

親御様は大変困惑されていました。統制によってRくんの行動をコントロールしようとしたのに、Rくんの行動は全くコントロールできなかったのです。そこで、統制はなかなか狙ったようには機能しないことや、長期的には様々な弊害があることをご説明しました。そして、統制ではなく、心がきちんと成長するようRくんの自律性を支援していくことを提案しました。統制が意味をなさないことにお気づきになられた親御様は、私たちの提案を受け入れてくださいました。

その後、ご家庭や塾で自律性を支援される中で、Rくんの行動は少しずつ変化していきました。

「先生、自習する間はスマホを預かってください。」

彼が中2だったある日、初めてこのように申し出てきました。スマホに気を取られて勉強できないことに問題意識を持つようになった彼は、自分から助けを求めたのです。今までの彼とは全く違う行動を取ったその日のことは、今でもハッキリと覚えています。その後しばらくの間、彼は助けを求め続けました。

そんな中、新型コロナウィルスまん延による外出の自粛が始まり、彼の求めに応えることが難しくなりました。彼とはオンラインで接するだけになってしまいましたが、それでも彼が改善を心がけていることはよく伝わってきました。

その後、自粛期間が明けてからは、彼が助けを求めることはもうありませんでした。スマホが手元にあっても気を取られず学習できるようになっていたのです。そして高校受験のための受験勉強では、最後に大きな踏ん張りを見せ、彼にとって高い目標であった志望校への合格を見事に掴み取りました。

高校受験を乗り越えた後、彼はしばらく塾から離れましたが、やはり塾の自習室で勉強したいと高1の秋に戻ってきました。その時の彼はスマホに気を取られず学習できるばかりか、学習にスマホを積極的に活用するようになっていました。アプリや動画を駆使して自らの学習を改善しようといろいろ試すようになっていたのです。

以上のとおり、中1当時の彼にとってスマホは学習の大敵でしたが、高校生となった彼にとってスマホは学習の強い味方となったのです。そのように変化したのは、スマホに何か特別な機能が追加されたからではありません。彼自身の心がきちんと成長したからなのです。(学習を認めて行動する同一化的調整が、中1のときにはとても低かったのに、中2以降どんどん高まっていきました。)

子どもの行動を変えさせようといろいろやっても、狙ったとおりにうまく変わることはまずありません。うまく変わらないばかりか、統制への反発から望まない方向に変わってしまうことさえよくあります。しかし、子ども自身が変わろうとしたならば、子どもはまず間違いなく変わります。自身のありたい姿に向かって、どんどん変わっていきます。それまでの姿からは想像がつかないほど大きく変わることもしばしばです。そんな変化を促すためには、子どもの心をしっかり育てることがとても大切です。

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