続・数学のセンスとは何か

中学生でも割合や速さといった算数の概念をきちんと理解していない生徒がかなり多いです。小学生の頃から塾や公文でバリバリ問題を解かされ、その求め方は知っているにも関わらず、それでも概念は分かっていないという生徒もとても多いです。それはなぜなのでしょうか?そのような生徒には数学のセンスがないからなのでしょうか?

5年ほど前、「数学のセンスとは何か」という記事を書きました。(記事はこちら)この記事では、数学が得意な生徒とそうではない生徒の思考のパターンの違いについて、目的と手段の観点から説明しました。数学が得意な生徒が「目的」から考えるのに対して、そうではない生徒は「手段」から考えます。その記事では次の例を挙げました。

「30分で20Km進むなら、時速何Kmか?」

「目的」から考える生徒は次のように考えます。

時速ということは、1時間でどれだけ進むかを求めたらいいんだな。
ラッキー、30分だから倍にするだけで1時間だ。
じゃぁ、距離も倍にして40Km。
よし、時速40Kmだ!

一方、「手段」から考える生徒は次のように考えます。

速さは道のり÷時間だから、
よ~し、じゃぁ、、、
おっと、危ない。時速だから、分を時に直さなければ。
分を時に直すには60で割ればよいから、30÷60で0.5時間か。
20÷0.5は、えーっと40、時速40Kmだ!

では、なぜ「手段」から考えてしまうのでしょうか。以前の記事では、イメージをつかんでいないことが原因ではないかとの仮説を紹介しました。その後も観察を続けて分かってきたことは、さらに深いところにより根源的な要因があるということです。

その要因は、動機づけです。手段から考える生徒は、分かるためにやっているのではなく、終わらせるためにやっているのです。興味もなければ、大切なことだとも思っていません。ただ終わらせたいのです。そのような時、もっとも少ない労力で課題を終わらせるには、どうすれば良いでしょうか?そう、先生の示す手段通りにやれば良いのです。

では、なぜ終わらせるためにやるのでしょうか?それは、やらされているからです。本人の意思で「やる」と決めたのではなく、ただ無理やりやらされているからなのです。やらければ怒られたり、評価を下げられたりするので、本当はやりたくないのを我慢して、仕方なくしているのです。つまり、手段から考えるのは、やらされていることを手っ取り早く終わらせるためなのです。

逆に、分かるためにやっている生徒は、手段を真似して終わらせるような勉強は決してしません。いくらでも考えますし、何度でも質問します。「先生にはこんな解き方を教えてもらったけど、僕はこんな解き方を見つけました!」そんな報告を嬉しそうにする生徒もいます。そして彼らは、いろいろ考えるうちにイメージを掴むのです。

ここ数年、勉強に対する動機づけのデータを取り続け、分かってきたことがあります。それは、「やらされている」と感じている生徒で、イメージをつかむような深く理解するための勉強をする生徒はいないし、逆に、「やろう!」と感じている生徒で、ただ手段を真似するような表面的な勉強をする生徒もいないということです。

もしお子様が、ただ手段を真似しようとしているのでしたら、それはお子様のセンスがないのではなく、やらされていると感じているからだと思います。お子様に、自分の力やセンスを発揮するような、深い勉強をするようになってもらいたい。もし、そのようにお考えでしたら、動機づけの改善に取り組まれることをお勧めします。

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