変化の要因

生徒の成長

最近勉強への姿勢が激変したRくん。本当にじっくりと考えますし、講師の解説を熱心に聞いてそこから何かを掴み取ろうとします。自分にはどんな勉強が必要なのかを考え、それを実行しようともします。分かることやできることが着実に増えていくのを感じます。勉強が好きとまではいかないそうですが、表情はとても生き生きとしています。そんなRくんの勉強も、つい数ヶ月前まではうまくいっていませんでした。

これまでの彼の勉強は、分かるためというよりも、ただ作業をしているかのようでした。何を教えてもその背景にある理屈には関心を示さず、表面的なやり方を真似るばかりでした。勉強の質を上げるために提案した数々の勉強方法にも全く関心を示しません。そんなことを求めてはいなかったのです。そして、淡々と作業としての勉強をこなし続けました。そのような形だけの勉強ですので、当然成績が上がるはずもありません。

成績が上がらない直接の原因は、彼の勉強に対する姿勢にあることは確かでした。もちろん彼は成績を上げたくないというわけではありません。それではなぜ、そのように取り組んでしまうのでしょうか。それは、分かりたいという気持ちよりも、しなければならないというプレッシャーが大きいからだと感じました。彼は彼の意思で勉強に取り組んでいたというよりは、ただプレッシャーに動かされていたのです。「やらないと怒られる」しきりに発する彼のその言葉が何よりの証拠でした。

そこで、彼のプレッシャーを和らげられるよう、お母様にご協力をお願いしました。彼のプレッシャーを取り去ることがなぜ重要なのかをお話ししました。「良かれと思ってしていたことが、間違っていたのですね。」お母様は大変驚かれた様子でした。プレッシャーをかけることが彼を勉強へと駆り立てるとお考えだったのです。そうすることが彼のために必要なことだとお考えだったのです。

その後、お母様は変わる決心をされたようです。なんと、心理学のセミナーなどにも参加して学んだりもされたとのことでした。お母様の行動力に大変驚かされました。それほど、お子様を想う気持ちが強いのだと思いました。これまでの当たり前を捨てて何かを変えるというのは、とても大変なことだったと思います。すぐにはうまくいかないこともあったようで、何度も相談くださりました。そして、Rくんを少しずつプレッシャーから解放していきました。

Rくんも、お母様の変化を感じているようでした。そのためか、Rくんの発言の質が明らかに変わっていきました。そして、徐々にRくんは怒られるからするのではなく、分かるために勉強するようになっていきました。それから数ヶ月、冒頭のRくんがあります。

今、Rくんは自分の意思で勉強に取り組んでいます。Rくんの行動が変わったことの要因の一つは、プレッシャーが小さくなったことだと思います。ただ、それ以外にも、大きな要因があると感じました。それはお母様の姿です。現状を変えるためには行動することが大切なのだ。そのことを、お母様ご自身が行動で示されたのです。そんなお母様の姿がRくんの心を動かした。そのように思えてなりません。

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