受験の目的

生徒の成長

「理科が得意になりたい!」

今年も高校受験が終わりました。コツコツ努力を重ね合格を勝ち取った生徒、ギリギリになってからの怒涛の追い上げで大逆転を勝ち取った生徒、受験前に不調に陥ってしまったもののきっちり合格を勝ち取った生徒、本気を出す前に推薦でポッと合格してしまった生徒など、今年も生徒それぞれの様々な受験がありました。冒頭の言葉は、Fさんの言葉です。Fさんの結果は、彼女が一番望んだものではありませんでした。第一志望校は不合格だったのです。とても辛い思いをしたであろうその日、彼女はそのように言って苦手の理科の勉強に取り組みました。

彼女にはどうしても行きたい高校がありました。とても高い目標でしたが、その目標の高さに臆することなく、努力を重ねました。彼女の勉強に対する姿勢は本当に素晴らしいものでした。毎週の目標を一つ一つ丁寧にクリアしていきました。時には前倒しでクリアし、決めた以上のことを成し遂げました。質問にもその姿勢は表れていました。どこが分からないのか、何を聞きたいのか。彼女が質問をする時には、いつもそれが明確でした。また、教わったことを何度も反芻しました。本当に分かったのだろうか?彼女は理解を徹底的に疑いました。理解があやふやであれば、納得のいくまで質問し、考え、そして練習を重ねました。彼女の理解が急速に広がっていくのを感じました。

しかしそれでも、志望校を安全に狙えるところまでは及びませんでした。志望校を最終決定する時、彼女は少し迷っていました。大きな不安を感じていたのだと思います。安全策をとって志望校を変える。彼女の頭にはそんな選択もよぎったそうです。しかし彼女は志望校を変えませんでした。不安に押し流されることなく、自分の意思を貫きました。不安を感じていたのは彼女だけではありません。私たちもまた不安を感じました。不合格者を出したくないという思いもあったと思いますし、何より、これだけ頑張る彼女に辛い思いをさせたくなかったのだと思います。ですが、それでも彼女の意思を尊重することに決めました。彼女の決意と挑戦を、私たちの余計な口出しによって台無しにすべきではない。私たちがすべきは、不安を分かち合い、共に挑戦することだ。そう思ったのです。

当日の試験は、彼女の得意科目の得意分野が例年に比べとても難しくなっていました。いつも点を稼いでいたところが、今年は稼ぎにくいところになってしまったのです。そんなことから、不合格の理由を運に求めることもできたと思います。そう思うことで、辛い気持ちを幾分紛らわすこともできたと思います。しかし、彼女はそのようには考えませんでした。合格に届かなかった理由は自身の実力不足にある。そう受け止めました。そして、とても辛かったであろうその日に、最も苦手な理科の勉強に取り組みました。

受験の目的は志望校に合格することでもあると思いますが、それ以上に大きな目的があると思います。それは、成長することです。その大きな目的において、彼女は大きな成功を納めた。それは間違いなく言えることだと思います。失敗を恐れず挑戦する。次につなげるために結果を受け止める。そんな勇気ある行動をとるほどに、グンと成長した彼女を心から讃えたいと思います。

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