西郷校長のお言葉

どんな塾?

「学校に履いていける、真っ白の靴が見つからないんです。ロゴすらも入っていたらダメなので、探すのが本当に大変なんです。」

先日、あるお母さまがお悩みのことについてお話しくださいました。お子様は皆と同じ靴が嫌だそうで、学校で販売する靴は履きたくないそうなのです。そんなお悩みから、お子様の通う中学校の厳格すぎる校則に疑問を感じておられるようでした。その翌日、ある先進的な中学校の取り組みについて、その学校の校長先生からお話しを伺いました。

「なぜ靴下は白じゃないといけないのか?なぜセーターは紺じゃないといけないのか?そこに合理的理由のない校則など必要ない。」

私には、このコントラストがあまりにも鮮烈でした。この先進的な中学校とは、世田谷区立桜丘中学校です。最近様々なメディアでよく取り上げられている学校ですので、ご存知の方も多いかもしれません。先日、桜丘中学校の西郷校長先生にお話を伺う機会がありました。

桜丘中には校則がありませんので、もちろん靴の色に制約はありません。そもそも服装自体が自由です。制服すら着なくても構いません。髪型も自由ですし、持ち物も自由です。スマホを持って行っても構わないどころか、学校にフリーWiFiまで完備されているそうです。授業中にスマホを使っても怒られることはありません。そもそも授業に出たくなければ、出なくても構わないそうです。

そんなことを許すと生徒は勉強しなくなる。私たちが受けてきた教育の常識から判断すると、誰もがそのように予想することと思います。しかし、現実は違います。生徒は一生懸命に勉強するのです。そして、進学実績は上がっているそうです。私たちの常識からは不可解としか言いようのないことが、この学校で起こっているのです。

それは何故なのでしょうか。実は、桜丘中で起こっていることは、決して不可解なことではありません。動機づけの科学からはきちんと説明がつくことなのです。不可解だと感じるのは、私たちの常識が誤っているからなのです。上からルールを押し付けたところで、人は決してそれを心からは受け入れません。ただ怒られるのが嫌だから従うだけなのです。(だからと言って放任すれば良いというわけではありません。誤解の無いようにご注意願います。)

西郷校長が赴任されたころ、桜丘中は荒れていたそうです。「しゃべるな!」朝礼の時には怒号が飛び交っていたそうです。そこで、西郷校長は教員にこうお願いしたそうです。「生徒を怒るのは止めてください。生徒が話を聞かないのは、私の話が面白くないからです。生徒が聞きたくなる話を、私がすれば良いのです。」西郷校長は、上からルールを押し付けるのではなく、生徒の視点に立たれることで学校を変えていかれたのです。

時代が変化していく中で、塾はどうあるべきなのだろうか。子どもたちのために、塾には何ができるのだろうか。それは私たち自身が考えねばならないことです。ただ、是非とも西郷校長のご意見を賜りたいと思い、質問させていただきました。西郷校長は、優しい表情でお答えくださいました。

「自己肯定感を高めてあげてください。」

西郷校長はとてもシンプルに考えておられるのだと思いました。学校は〜をする。塾は〜をする。決してこのようには考えておられません。「学校も、塾も、教育の目指すところは本来同じなのだ。それは、子どもたちが自分の価値を感じられることなのだ。そこに向かってそれぞれの立場からできる子どもたちへの支援を、自分たちで考え実践し続ければ良いのだ。」私はお言葉をそのように受け止めました。

ほんのわずかな時間のお話しではありましたが、西郷校長のお言葉は私の心に深く突き刺さりました。心から実践されている先生のお言葉だからこそ、これほどに響くのだと思いました。西郷校長のお話しを伺い、心の羅針盤が指し示す先がよりハッキリと見えるようになりました。

西郷校長の書かれた本です。お子様のやる気のことでお悩みの親御様は、もしよろしければお読みになってはいかがでしょうか。とても読みやすく、たいへんおすすめです。

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この記事を書いた人
中山悟志

学生時代の家庭教師のやり甲斐が忘れられず、電機メーカーでの研究職、玩具メーカーでの開発職を経て講師になりました。点数をとるだけのテクニックではなく、実社会でも役立つ力を養いたいと常々考えています。

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