フローを通してRくんは

生徒の成長

フローという言葉を耳にされたことはありますか?フローとは、時が経つのを忘れて何かに没頭しているときの精神状態のことです。中学1年生のRくんは、塾でこのフローをよく体験します。彼がフローを体験するのは、プログラミングに取り組んでいる時です。

「こんなのが作りたい。」彼の頭の中には、作りたいものがあります。それをどうやって実現すれば良いのだろうか?彼は悩み、手を動かし、失敗しながら、粘り強くその作りたいものに近づいていきます。彼には、そんなプログラミングが楽しくて仕方がないようです。

1年前、プログラミングを始めたばかりの彼は見本の通りに作るだけでしたが、今はオリジナリティ溢れる作品を作るようになりました。彼の作るプログラムの水準は、すでに高校生が情報の科目で扱うプログラムの水準を遥かに超えています。

「なんか、理科とか数学より、もっと難しいことしてる気がする。」

つい先日、彼はボソッとこんなことを言いました。彼の直感は、まさにその通りだと思います。プログラミングでは変数や座標、関数といった数学的な概念をよく扱いますし、完全に曖昧さを排除した厳密な記述が要求されます。それらは、中学1年生にとってはとても難しいことだと思います。

そんな難しいことを、彼はいつの間にか自然と扱えるようになってきました。彼にとってプログラミングは勉強というよりも、遊びです。多くの生徒が勉強として習得を迫られることを、彼は遊びの中で難なく習得しつつあるのです。

フローを通して、人はより複雑な能力や技術をもった存在へと成長していく。フロー理論ではそのように考えられています。そして、フローを多く経験した学生ほど、学習意欲や創造性、自尊感情、人生に対する満足感、日常生活における充実感などが高いことが確かめられています。

日常的にフローを体験するRくんの成長は、やはりとても順調です。

彼の学習意欲は順調に育っています。2年前の入塾したばかりの彼にとって、勉強とは無理やりやらされる面倒なことだったようです。面倒ごとを押し付けられると思ったのか、当時の彼は私たちのことをひどく警戒していました。しかし、やらされる感覚はどんどん薄れ、最新の診断結果ではこれまででもっとも小さくなりました。そして、勉強を大切なことだと思う気持ちのほうが大きくなりました。

理科や数学に必要な技能も順調に育っています。実は、彼は普段、理科や数学の勉強にほとんど時間を割きません。テスト直前になってバーっと取り組むだけです。しかし、普段からもっと難しいプログラミングに取り組んでいるからか、それだけでも十分に理解できるようです。先日の中間テストでは1学期よりもグッと成績を上げ、理科も数学も上位10%ほどの成績を修めました。

嫌いな科目に立ち向かう責任感も育っています。彼にとって最もやりたくない科目は英語だそうです。もともと興味がない上、学校の授業がとてもつまらないそうです。加えて、必要性も面白さも感じないそうです。それにも関わらず、彼は自らの意思で英語の学習に取り組むようになりました。

彼の成長が順調であることの要因は、もちろんフロー体験だけではありません。もともと彼が備えていた気質や知能、そして、彼の自律性をしっかりと支援されるご家庭の環境など、他にもあると思います。しかし、フロー体験がその要因の一つであることに間違いはないと思います。

お子様の日常に、フロー体験はありますでしょうか?

(ある調査によると、27%もの大学生が一度もフローを経験したことがないそうです。プログラミングにはフローに入りやすい条件が揃っています。もしお子様が興味を示すようでしたら、取り組ませてあげることをお勧めします。)

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