本来の心を、取り戻す

生徒の成長

中学生の中間テストが終わりました。今回も、嬉しい報告、悔しい報告、いろんな報告がありました。中学3年生のIくんからは、とても嬉しい報告がありました。彼は春休み明けのテストに続き、なんと2回連続で数学の学年最高点をとったそうです。

そんなIくんは1年ほど前に入塾しました。入塾したばかりの頃のIくんは、勉強に対して強い統制を感じているようでした。動機づけ診断結果もそのことをハッキリと示していました。「させられるからする。」全ての科目において、そのような動機づけが最優位でした。Iくんにとっての勉強とは、統制の圧力に従って嫌々するものだったようです。

とはいえ、指導中の彼の様子を見る限りは、数学を楽しむ素質を持っているように感じられました。そこから推測できるのは、彼にアンダーマイニング現象が生じていたということです。アンダーマイニング現象とは、元々は楽しさを感じていたことであっても、外的な圧力でさせられるうちに、楽しさが感じられなくなってしまう現象のことです。(より正確には、報酬や罰などの統制によって内発的動機づけが損なわれる現象です。)

事実、Iくんが以前に通っていた塾には、とても強い統制の圧力があったそうです。ペースの速い授業、大量の宿題、出来るまで続く再テスト、貼り出される成績表、成績によるクラス分け。その強い圧力によって、アンダーマイニング現象が引き起こされたとしても何の不思議もありません。

そんなIくんに対して私たちは、統制の圧力を和らげることに注力しました。そのためか、塾というものが大嫌いだったIくんが、嫌がらずに塾に通うようになったそうです。そしていつの間にか、彼は納得して学習に取り組むようになりました。今の彼は嫌々させられるどころか、1問1問との格闘を楽しんでいるかのようにさえ見えます。

そんな彼の心の変化は、動機づけ診断でもハッキリと確かめられました。「楽しいからする。」今回の中間テスト直前の診断結果では、数科目においてそんな動機づけが優位になったのです。特に数学において、その優位性は圧倒的でした。彼は、取り戻したのです。彼が本来持っていた、数学を楽しく感じる心を。

彼が数学で高い成果を上げることができたのは、その心の変化があったからなのだと思います。心が変われば、行動は変わります。楽しんで学習に取り組む生徒は、嫌々させられている生徒が絶対にしないような、よい学習をします。そんな学習をするようになったことで、彼は本来持っていた力を存分に発揮できたのでしょう。

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