目的にはまっすぐ

ちょうど2年前、「投げ出すのは分からないからか?」という記事を書きました。(記事はこちら)子どもたちは「分からない」から投げ出すのではなく、投げ出すために「分からない」を利用するというものでした。それ以来、目的の観点から子どもたちの行動を観察し続けています。そして分かってきたのは、子どもたちは自分の目的に対して実にまっすぐに行動するということです。

とても印象に残っている出来事があります。その日、T君は苦手の文章題ができるようになりたいと、一生懸命取り組んでいました。歯が立たないように見えたであろう問題に対しても、こう考えたらどうだろう?と、試行錯誤を続けました。もちろん「分かりません」などとは言いません。分かるまで決して投げ出すまいとの意気込みが伝わって来ました。

ただ、彼の姿勢はあることをきっかけに激変しました。それは、終業のチャイムです。このチャイムをきっかけに、それまで決して言わなかった「分かりません」を連発し始めたのです。それまでの彼があまりにも一生懸命だったので、キリの良いところまで一緒に頑張ろうと思っていたのですが、分かることを求めていないのを察知して手を引きました。

彼の行動はなぜ変化したのでしょう?それは、目的が変化したからだと思いました。彼の目的が、「分かる」から「遊ぶ」に変化したのです。彼は授業の後に友達らと遊びたかったのです。そして、「遊ぶ」目的のためには、投げ出す必要があったのです。「分かりません」は、その手段として利用したのです。やる気が無くなったからではなく、ただ、自分の目的にまっすぐに行動したのです。

このように子どもたちは自分の目的にまっすぐに行動します。ですから、「分かる」が目的でない子どもに勉強を強制しても、本質的に分かるための行動はとらず、ただ勉強から抜け出すための行動をとるだけです。「分かりません」の他に、「やる気が出ない」と言って投げ出す、答えを写して終わりにする、解き方を丸暗記してわかったことにする、当てずっぽうで適当に答える、考えているフリをして時間が過ぎるのを待つなど、それは実に多様です。

逆に、「分かる」を目的とする子どもは何も言わずとも分かるための行動をとります。1年前、どれだけ点数が低くとも英単語の暗記をしようともしなかったSくんは、ある日、毎日60個の単語の暗記に挑戦すると宣言し、自分で用意した手帳にスケジュールを書き込み実行しました。昨春、なぜ大学に行ってまで勉強するのか?と受験勉強をしようとしなかったHさんは、毎日10時間の受験勉強に取り組みました。彼らは誰かにそうさせられているのではなく、ただ自分の目的にまっすぐに行動しているのです。

「子どもたちは自分の目的に対してまっすぐに行動する。」これまでの観察を経て、深い確信に至っています。そして、これは子どもたちだけではなく、大人にも言えることだと思います。実は、上のT君が「分かりません」を連発しだしたとき、自分の中にわずかにさせる気持ちが芽生えたのを感じました。「T君の分かるを増やす」目的のためには「勉強に向かう」必要がある。そのためには、、、もちろん行動には移さなかったものの、まっすぐに行動しようとしてしまったのかもしれません。

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